生まれつきの肢体不自由の子どもならば、
  ハビリテーションの考え方の運動療法を受けて欲しいです。
   ゆざわひろみ
 
 ここに記した内容は、2021年09月25日から2021年10月10日の6回のアメブロに載せた内容をまとめたものです。
--○○◎◎ 公開 2021年10月11日
 病気・ケガ・事故・生まれつき等で運動機能障害となった時、その運動機能障害を少しでも改善しようとすれば、運動療法と言う治療体操を受ける事が良いのではないだろうか。
 年齢に関係無く、運動機能障害となった時には「リハビリテーション」を受けると思い込んでいませんか?
 病気・ケガ・事故等で運動機能障害となった時には、リハビリテーション(rehabilitation)を受けても不思議な事ではありません。しかし生まれつきの運動機能障害では、ハビリテーション
(habilitation)を受けて欲しいのです。
 貴方の指導によって、肢体不自由の我が子が思わないほどの機能の変化をもたらすかも知れません。
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  目次
1 リハビリテーションとハビリテーションの違いは?
2 運動機能障害とか運動発達遅滞と告知されたならば…
3 運動機能訓練とは?
4 歩行訓練とは?
5 いろんな学習成果を上げよう!
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1 リハビリテーションとハビリテーションの違いは?
 リハビリテーションとハビリテーションの違いは、リ(re)が有るか無いかの違いです。この「リ(re)」が有るか無いかによって、指導される方法と考え方が全く異なる事になります。
 リ(re)の意味は、電子メール等では「返信」を意味しています。リハビリ(reが有る)とハビリ(reが無い)では、reが有れば「再びとか、戻って」等と言う意味になります。生まれつきで運動機能障害ならば、「リ(re)」が着いていた時、何処に戻る事になりますか?
 言葉の意味で遊んでいても、運動機能が改善するわけもありません。そこでハビリテーションで施される運動療法と考え方を紹介いたします。
 運動機能障害・運動発達遅滞のいずれもが、肢体不自由と言われて一括りにされる事が多いです。しかしこれは一括りにする事が間違いであって、運動機能障害はどれ程に機能を改善したとしても、障害の兆候は残ります。一方運動発達遅滞では、機能の改善が完了した時、肢体不自由の兆候は無くなり、肢体不自由としていた原因だけが残る事になります。
 ハビリテーションでは、指導される内容全てが生れて初めて習う事です。教える側が初めての動きとか姿勢だと理解して指導をしているのだろうか?
 初めて習う事! この初めての練習時に、間違った指導内容が入ると、その間違いを訂正するのにとても大きな努力ととても長い時間を要する事になります。
 何が正しいのか? 定型発達児の発達順が正しいのです。
 定型発達児がどの様にして、姿勢や動きを獲得していくのか? この点を間違えないで欲しいです。
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2 運動機能障害とか運動発達遅滞と告知されたならば…
 生まれつきで運動機能障害となった時、その運動機能障害を少しでも改善しようとすれば、運動療法と言う治療体操を受ける事になります。
 また2歳未満で肢体不自由となった時にも、ハビリテーションを受けて欲しいです。2歳となっていれば、よちよちと歩いていたでしょうが、子どもが運動機能を獲得できたとは言えずに、獲得途中だったと考えるからです。
 運動機能障害とか運動発達遅滞と告知されたならば、できるだけ早くに関節可動域訓練を開始して欲しいです。
 関節可動域訓練とは、身体の各部に有る関節の動きを正常に保とうとする訓練です。
 肢体不自由、身体の自由を失ったり、身体の一部の動きに制限が出た時の事です。この不自由が一時的ではなく、治療を施しても正常に戻せない時に言われるのです。
 身体が動かせない。この動かせない事が、現実に関節の動きが悪くなる事実であって、関節の動きが悪くならないように保とうとするのが関節可動域訓練なのです。
 身体の自由が無いから関節が動かなくても良いではないか? 子どもは月齢や年齢と共にいろんな面で発達していきます。一定の発達となった時に、身体を動かそうとしても関節が動かなければ目的動作ができない事になります。この動かそうとした時に動く身体を保つためにも関節可動域訓練を忘れないで欲しいです。
 関節可動域訓練をストレッチと称する事も有ります。ストレッチは、身体が不自由の間は何歳になっても施していたいです。
 ストレッチと称して身体を動かしますが、この動かされる事が子どもの脳内の身体の地図の書き込みに大いに影響しているのです。
 定型発達児、新生児期から乳児期に成長していきますが、この発達の最初が自らの身体を動かし、どの程度に身体が動くのか脳内の地図に書き込んでいるのです。
 脳内に書き込まれた身体の地図は、順序良く発達していく運動機能に影響を及ぼし、脳内の地図に基づいて身体を動かして新たな運動能力を獲得しているのです。
 身体の動く地図を作成しなければならない時期に、動かない身体の一部が有ったならば、その様な情報でもって地図はできあがってしまいます。この不適切な地図ができあがった事によって、新たな動きを学べない原因ともなっているのです。
 身体が動かないのにストレッチも受けていなかった。関節の動きを改善するために整形外科や脳神経外科で手術を受ける。術後には関節は通常に動くはずなのに、過去と同じ様にしか動かせないのです。脳内では術後の関節の動きがどれ程に可能となったのか地図の書き換えが終わっていないからです。
 術後に早々のストレッチの開始が必要なのは、脳内の地図を書き換えたいからです。脳内の地図を書き換えないために、術後の数年でもって術前の状態に戻ってしまっているのです。
 ストレッチは、身体を動かすために必要な事ですが、身体の自由が無い人にとっても必要なのです。
 自由を失っている人、動かない身体の一部がある人、この人たちには動かない部分が痛くなる事が有るのです。痛い原因は、血流の悪さによって筋内に不要な物質が留まってしまうからです。
 筋が活動するためにはエネルギーが必要です。エネルギーは血液から受け取ります。筋内で使ったエネルギーの廃棄物が再び血液に戻り身体の外に排出されます。しかしその筋が動きにくいと、筋内の廃棄物が排出されずに筋内に留まり、この筋内に留まった廃棄物が痛みとして現れるのです。
 成人となってからの身体の痛みを予防するためにも、何時までも身体を柔らかく保ちたいです。柔らかい身体を保つためには、幼い時期から関節可動域訓練(ストレッチ)を忘れずに施し続けたいです。
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3 運動機能訓練とは?
 生まれつき・2歳未満で肢体不自由となった時、その肢体不自由を少しでも改善しようとすれば、運動療法と言う治療体操を受ける事になります。
 運動機能訓練は、運動療法中に含まれる訓練の一つです。関節可動域確保訓練もその一つです。他には歩行訓練や筋力強化訓練なども有ります。
 運動機能訓練と一言で言っても、その内容は広く指導内容も異なります。
 このハビリテーションでは、首のすわりを図る所から、四つ這い移動をする所までの間、定型発達児で言えば月齢2カ月頃から8・9カ月頃までになります。しかしこれが肢体不自由の子どもの発達となれば、生後2カ月頃から4歳頃までになるでしょうか。
 一つ一つの姿勢や動きの指導内容については、教本『立つ・歩くことを考えた 脳性まひ児のリハビリテーション-運動機能獲得へのアプローチ-』を参考にして欲しいです。
 この運動機能訓練の中で足で体重を支える。歩く。等を除くすべての動きの練習を行います。間違っても学習してはいけない事は、姿勢や動きで倒れないようにバランス確保するのが子ども本人であると言う事です。
 この運動機能訓練でもって、四つ這い移動やいざり這いを4歳までに獲得する事ができれば、杖歩行か独歩が可能になります。
 四つ這い移動をしているのに、床で安定した座位保持ができない。同じ様に椅子座位も安定しない。こんな状況となっているのは運動機能訓練で間違った指導を受けた結果です。
 関節可動域訓練と運動機能訓練を併用して学び、首のすわり→寝返り→肘這い→臥位から床に自分で座って安定している→四つ這い移動かいざり這いができるようになりたいです。
① ストレッチを行っていたのに行えていなかった?
 身体の中で固くならないで良い箇所が、固くなってしまっている。整形外科で関節可動域を広げる手術を受ける時期だったのに、受けないで関節の動きを悪化させている。
② 運動機能訓練を受けていたのに発達が伸び悩んでしまった?
 重力に逆らい姿勢を保持する。姿勢や動きでバランス確保が自らではできないでいる。
 こんな①や②とならないように、関節可動域訓練と運動機能訓練を正しく受け、家庭でも予習や復習を行って、肢体不自由を少しでも改善したいです。
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 歩行訓練とは?
 生まれつき・2歳未満で肢体不自由となった時、その肢体不自由を少しでも改善しようとすれば、運動療法と言う治療体操を受ける事になります。
 運動療法中の運動機能訓練でもって、四つ這い移動やいざり這いが可能となったならば、歩行訓練に入ります。
 四つ這い移動やいざり這いができるようになってから、歩行訓練が始まるわけでもありません。
 定型発達児では、四つ這い移動を始めてから掴まり立ち→伝い歩き→独歩へと進みますが、肢体不自由の子どもではこの順を追う事ができない事がほとんどです。順を追って練習ができないから、歩行訓練と称して定型発達児とは異なる練習に入るのです。
 歩行に向けての歩行訓練に入るまでに、姿勢や移動バランス確保の練習ができていなければならないのです。バランス確保練習ができていないのに、歩行練習と称する間違った練習に入る事が有るため、その後の歩行が獲得できないでいる事が多いです。間違った指導を受けないようにしたいです。
 掴まり立ち・伝い歩き・独歩を獲得するための練習では、常に足で体重を支える事を学びます。体重を支えるのが足でなく手となる事が多いので注意したいです。
 ここで紹介しているLS-CC松葉杖訓練法では、掴まり立ち・伝い歩き・歩行に向けての練習を松葉杖歩行訓練と称して、特に手の悪い子ども、特に足の悪い子ども、四肢ともに悪い子ども、片半身が悪い子ども、このいずれの症状でも同じ様な指導を行います。
 まずは松葉杖歩行が可能になるように(松葉進度4)。この松葉杖歩行の言葉ですが、松葉杖で歩くようになったとしても伝い歩きをしているようなものなのです。ですから松葉杖歩行ができる前に、掴まり立ちが有るはずです。この掴まり立ちと同じ様な物が松葉杖を使って立っていられる(松葉進度2)ようになる事です。
 松葉進度4の先には松葉進度5が有ります。松葉進度5となって初めて、よちよち歩きの様な物なのです。
 松葉進度5が更に進むと、杖歩行の四点支持三点歩行から四点支持二点歩行に進ませたいです。この四点支持二点歩行が、一般的な杖歩行が獲得できたと考えてもらって良いのでは・・。
 四点支持二点歩行から独歩に進む子どもと、杖歩行に進む子どもに分かれます。
 四点支持二点歩行になってから独歩に進む事のできる子どもは、杖の支えが無くても立っていられる。歩行バランス保持が理解できている。この点が獲得できているかいないかによって、独歩なのか杖歩行なのかに分かれるのです。
 杖歩行に進む子どもは、松葉杖のままで進むのか? ロクストランドクラッチに替えて進むのかに分かれます。この点は子どもの希望や保護者の希望によって決められます。
 独歩を獲得した! 杖歩行を獲得した! これを判断するのは、歩く速度が50mを1分以内で歩く。また都市では500m以上を、都市以外では1kmが歩けるようにする必要が有るのです。
 この速度と距離を求めるのは、戸外を歩く際に守らなければならない交通ルールと、整えられている公共交通機関によるのです。
 速度が50mを1分以内で歩くのは、交差点で青信号中に横断歩道を渡り切る必要が有るからです。
 都市と都市以外での歩行距離の違いは、バス・電車等の公共交通機関の駅に行き着く為に必要な距離と考えています。自分で車の運転ができるようになれば、この距離が歩けなくても良い事になります。
 独歩や杖歩行ができても一人で戸外を歩かせるのに課題が有る子どもでは、外出ヘルパーと共に手を繋いで歩くようにしたいです。
 ヘルパーに負担を少しでもかけないように、手を繋いだり、声かけを受けながら戸外を歩きたいです。
 車椅子で戸外の移動をした時、車椅子では行けない場所が多々あります。たとえ不自由な身体でも自分の力で独歩や杖歩行ができれば、行けない場所が極端に減るのではないですか!
◇◇◇◇◇◇◇◇
 運動療法の中には筋力強化訓練が含まれていますが、LS-CC松葉杖訓練法では、LS訓練・CC訓練・松葉杖を使った訓練をそれぞれ行う事によって、充分に日常生活に必要な筋力強化ができていると考えています。ですからわざわざ筋力強化訓練は取り入れていません。
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 いろんな学習成果を上げよう!
 肢体不自由のために自らの身体を自由に動かす事ができない。これを少しでも改善するために運動療法を受けて改善する努力ができていますか? それともすでに終えましたか!
 肢体不自由が原因の為に、幼い時期に体験できる遊びや経験が少なかったり、足りない状態で幼児期を終えると、その体験不足によって学校での授業の内容が理解できない事も起きます。
 肢体不自由であっても伸びる知能や特技は伸ばしてあげたいです。たとえ実践の体験が少なくても……
・ 杖歩行も独歩もできない。手繋ぎでの介助歩行もできない。仕方ないのか当然としてなのか車椅子生活を送っている。
・ 手作業がうまく行かない? 衣服の着脱やお出かけの用意は、常に周囲の介助する者が行っている。
・ 子ども自身でできる事も、周囲に支援を受けられる人がいればその人に指示して用事を済ませようとする。
 こんな子どもに育てて良いのだろうか?
 生れてから幼児期の間に、肢体不自由と言う不自由な身体を意識しすぎて、周囲の大人が肢体不自由の子どもの発達や成長を阻害する要因です。
 学校でも日常生活でも、周囲の環境など無視して自己主張を優先させようとする子どもに育てたくないです。
 社会資源が普及し、公共の費用でもって安価で支援が受けられる。この支援が有るからの理由で、肢体不自由と言う障害を逆手に取り、世のルールも無ければ場所にもかまわずに自由な行動ができるなどと育てないで欲しいです。
 定型発達児がみんな喜んで登校するとは限らないのでは? たとえ虐めが無くても登校が嫌いな子もいるのでは? 「学校も勉強が無ければ、給食の時間や校庭での遊びばかりならば学校に行きたい。」と言う子どもも多いのでは?
 どんな子どもも自由奔放に育てても良いが、世のルールを守り、自分でできる事を自分で行うように育てたいです。
 世のルール(道徳とか倫理)を教え、この教えを守って生活していても、少しの読み書きと加減乗除ができれば更に嬉しいのでは…
 学校で教える教科中には、高校や大学受験のために欠かせない科目も有りますが、子どもが興味を持つ対象がそんな科目とは限りません。
 植物や野鳥、自然界の昆虫や生き物など、自然界に存在する色彩の数々、気象や天体など、興味の対象は数多くて数え切れません。しかしこの中のどれかに興味を持ったとしても、身体が不自由のために興味の対象を捜したり、自分の時間でもって観察する事もできないでいるのでは…?
・ 親の都合であちこちに出かけるが、子どもの興味の有る所に行っているのだろうか?
・ 車椅子やバギーで運ばれるが、興味の有る物を見つけても観察する時間が与えられないのでは? 車での移動では、速い速度のために興味の対象を見つけられないなど・・・
 身体が不自由な子どもに、適した玩具を与えたり、絵本などを読んだり見せても、その中の何に興味を持つのか見つけてあげて欲しいのです。玩具や絵本の中に興味の有る物が見つけられなければ、何に興味を持つ子どもなのか発見したいです。
 風が好きと言う子どもがいます。車椅子で外に出ると風が吹いていて喜ぶ。扇風機の前で風に当たって喜んでいる。扇子やうちわでもって風を送ってあげれば喜んでいるなど…、この風に何か香りをつけて観察してはどうだろうか?
 風に当たるのが好きだったのではなく、風によって運ばれてくる香りを楽しんでいたのかも知れません。香りの中には自然界の花や葉の香り、動物や土や気象の香りなど……
 子どもは興味の対象から、いろんな事を学ぶのです。この学ぶ事を知らぬ間に体験する事が、学校での学習意欲にも関係してくるのではないかと私は考えるのです。
 肢体不自由の子どものハビリテーション、運動機能の改善だけでなく、情緒や知性も養う機会を与えられるように施していきたいです。
 これが肢体不自由の子どもの治療に大切な考え方なのでは…。
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 製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美